ギリシャ神話とハーブ(その2)
こんにちは!!いよいよ春めいてまいりました。みんなで楽しく行楽計画…と言いたいところですが、今春は静かな気持ちで身近にある花や芽吹きを愛でたいと思います。
以前にご紹介致しましたギリシャ神話とハーブのお話ですが、今回は『ミント』にまつわるお話をご紹介したいと思います。
ギリシャ神話において冥界を統治する神として登場するハデスですが、このハデスが地上に住む精霊(ニュムペー)である『メンテ―』の美しさに魅了されてしまう…というところから物語は始まります。しかしながら、実は、ハデスにはペルセポネーという妻がおり、このペルセポネーがメンテ―を草(つまり『ミント』)に変えてしまう…という展開は同じなのですが、そこに至る「ペルセポネーの思い」については諸説あります。さて、どこが違うのでしょうか?
1つ目は、“メンテ―をおもんばかり守ろうとした”という説です。と言うのも、ペルセポネー自身、ハデスに攫われて冥界へと連れて来られたという過去があり、自らと同じような思いをメンテ―にさせたくないと考え、メンテ―の姿を一時的に草に変えて茂みに隠すことでハデスから助けようとした…というものです。
一方で、“全く別の思いによるもの”という説もあります。これは、ハデスがメンテ―に恋をしていることに激怒したペルセポネーが、嫉妬のあまりメンテ―を踏みつけた挙句、呪いによって草に変えてしまう…という、メンテ―にとっては不憫極まりないものです。また、この後の展開にも諸説あるようで、“ミントへと姿を変えられてしまったメンテ―が、人々に自らの居場所を知らせる為に良い香りを放っている”という説もあれば、“メンテ―が最初に変えられてしまったのは雑草で、それを憐れに思ったハデスが、良い香りを放つミントへと変えてあげた”という説もあるのです。
このように、登場人物や物語の展開自体にほとんど違いはないのですが、“なぜその行動に至ったのか”が変わると全く別の物語のように見えますし、メンテ―だけでなくハデスやペルセポネーに抱く思いも変わるのではないでしょうか?
紀元前15世紀頃には“浮気”は存在したということですね。気の遠くなるほどの長い年月をかけても、人間とは変われないもの…ということでしょうか。(笑)